投稿日: 2026年6月15日
※こちらのブログは通信業界歴15年の防災士が書いたものです※
先日、政府は発生が迫っているとされる首都直下地震の被害想定見直しを受け、新たな減災目標などを定めた基本計画を閣議決定しました。最悪の場合に死者1万8千人、全壊・焼失建物40万棟とされる甚大な被害について、今後10年間で「半減以上」を目指すという、非常に強い危機感を持った国の方針です。
この基本計画の中では、耐震化率の向上や2地域居住の推進などと並び、具体的な火災対策として「感震ブレーカー」の設置率を高める方針が打ち出されています。
感震ブレーカーは、地震の揺れを感知して自動で電気を遮断し、通電火災を防ぐ器具です。これは防災士の視点からも非常に優れた対策であり、同時に今注目されている「フェーズフリー(Phase Free)」の代表例でもあります。
日常と非常時の境界をなくす「フェーズフリー」
フェーズフリーとは、従来の「もしもの時のために、普段は使わない特別なものを準備しておく」という防災ではなく、「普段の暮らし(日常時)で便利に使っているものが、そのまま災害(非常時)にも役立つ」という、境界線のない新しい防災のあり方です。
感震ブレーカーも、普段は「電気の安全な使用」を見守る設備でありながら、有事には「火災を防ぐ命綱」へと自動で役割を変えます。日常のインフラの中に、最初から非常時の備えが溶け込んでいるのです。
実はこの「日常と非常時を分けない」というフェーズフリーの考え方、オフィスの通信BCP(事業継続計画)対策にこそ、絶対に今すぐ取り入れるべき視点なのです。
なぜ、オフィスのBCPは「眠らせる」と失敗するのか?
多くの企業の総務・リスク管理担当者様は、真面目にBCP対策を行っています。
「災害時のために、専用の通信機器やバックアップ回線、Wi-Fiルーターを契約して、社内の金庫(備蓄倉庫)に保管してある」という会社も多いでしょう。
しかし、この「非常時専用として眠らせておく対策」には、以下のような大きなリスクが潜んでいます。
- 有事の際、誰も使い方が分からない: 数年前に契約して以来、誰も触っていない端末を、大災害のパニックの中で全員が迷わず設置し、設定できるでしょうか。
- いざという時に動かない: いざ金庫から出したらバッテリーが放電して切れていた、契約プランの更新を忘れていて繋がらなかった、という「メンテナンス漏れ」が起きやすい。
「有事のためだけにコストを払い、普段は引き出しの奥に眠らせておく」という従来の通信BCPは、管理の手間がかかる上に、本番で機能しないリスクが高いのです。
通信のフェーズフリー化:平時は「オフィスの安定」、有事は「命綱」
そこで提案したいのが、平時利用の回線の「フェーズフリー化」です。感震ブレーカーが電気のインフラに安心を組み込むように、「オフィスの日常業務で毎日便利に使っているWi-Fi(通信環境)に、最初からBCP対策を組み込んでおく」という状態を作ることです。
据え置き型の通信BCPデバイスなら、以下のようなスマートな運用が可能になります。
- 平時の使い方: メインの光回線に万が一のことがあったときのための「社内サブ回線」や、店舗の「POSレジ・キャッシュレス決済専用の安定回線」として、日常業務で毎日アクティブに稼働させておく。
- 非常時の使い方: 首都直下地震などの大災害や局地的な大雨で特定の通信キャリアで大規模な通信障害が起きたりした瞬間、そのまま「ドコモ・au・ソフトバンクの生きている回線」へ自動で切り替わり、何事もなかったかのようにオフィスのネット環境や安否確認システムを維持する。
これなら、平時から社内で常に電波が飛んでいて使い慣れているため、有事のパニック時にも慌てる必要が一切ありません。日常のビジネスの安定性を高めるためのインフラが、そのまま自動的に「災害への最強の備え」になっている。これこそが、現代企業が目指すべきスマートなリスクマネジメントです。
まとめ:防災を「コスト」から「日常の価値」へ
国の基本計画がアップデートされた今、企業の防災もまたアップデートが必要です。フェーズフリーの最大のメリットは、防災を「普段は使わない無駄なコスト」ではなく、「日常を支える価値」に変えられる点にあります。
「もしも」の時に本当に動くBCPを作るために。
自社の情報インフラがいま、「非常時専用の眠れるお荷物」になっていないか、それとも感震ブレーカーのように「日常と非常時をシームレスに繋ぐフェーズフリーな相棒」になっているか、一度見直してみてはいかがでしょうか。
オフィスに、毎日使える確実な安心を。
当社の据え置き型BCP通信サービス「スカイベリーpro」は、まさに通信のフェーズフリーを体現した製品です。
平時はオフィスのネットワークのバックアップや、店舗の決済用回線として日常業務を裏から支え、有事にはドコモ・au・ソフトバンクの3キャリア自動切替で、どこの回線がダウンしても「止まらないオフィス環境」に貢献します。
政府の減災目標「半減」に向けた、オフィスにおける情報インフラの具体的な一手として、日常の安心と非常時のレジリエンス(復旧力)を両立しませんか?
BCPコラム
-
介護施設のBCP対策。「予算の壁」を補助金活用でクリアする通信冗長化の進め方
投稿日:2026.10.08
-
台風25号・26号の連続襲来に学ぶ。長期化・重層化する災害と「継続的な情報収集」を支える通信BCP
投稿日:2026.09.28
-
気象庁の「予報強化」でどう変わる?気候変動時代に企業が問われる「途切れない情報収集」と通信BCP
投稿日:2026.09.17
-
熊本地震でも注目。罹災証明書の「オンライン申請」を阻む通信の壁と、避難所に求められるWiFi環境
投稿日:2026.09.09
-
そのBCP、3年前のままになっていませんか?9月1日「防災の日」に見直す最新BCPチェックリスト
投稿日:2026.09.01
-
危機管理担当者110名に聞いた「通信BCP」の現状。スターリンク検討が約4割も、決め手に欠ける理由とは?
投稿日:2026.08.26
-
八潮市の道路陥没でも発生。年間2万件起きる「水道管破裂」がオフィスのネットを止める恐怖
投稿日:2026.08.18
-
熊本での地震を受けて考える「南海トラフ臨時情報」と「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の違いと企業の備え
投稿日:2026.08.10
-
8月は台風発生のピーク。「風速〇m/s」を言い換えて警戒を高める、実践的防災アドバイス
投稿日:2026.08.03
-
ニチレイの被害でも話題。サイバー攻撃時に企業が直面する「自ら通信を断つリスク」とBCPの盲点
投稿日:2026.07.27
-
スターリンクは万能薬ではない?都心オフィスで「繋がらない」を回避する、正しい通信BCPの選び方
投稿日:2026.07.21
-
今週末も九州で発生恐れ。予測困難な「線状降水帯」からオフィスの通信を守るBCPの現実解
投稿日:2026.07.07