投稿日: 2026年5月1日
※こちらのブログは通信業界歴15年の防災士が書いたものです※
先日、テレビ番組で「事前復興」という言葉が取り上げられていました。皆さんはこの言葉をご存知でしょうか。
通常、防災といえば「被害をどう防ぐか(減災)」に目が向きがちですが、事前復興とは「被災した後のまちづくりを、被災する前に準備しておこう」という新しい防災の取り組みです。
1. 「事前復興」の理念:混乱の中で「選択」を間違えないために
国土交通省のガイドラインによると、事前復興の核心は「復興の目標像を平時から共有しておくこと」にあります。
国土交通省:復興まちづくりのための事前ガイドラインについて https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_tobou_fr_000036.html
大規模災害が発生した後、被災地は深刻なパニックとリソース不足に陥ります。その混乱の中で、将来の街の姿をゼロから議論し、住民の合意を得るには膨大な時間と労力がかかります。
「事前復興」は、以下の3つの柱を平時から準備しておくことを提唱しています。
- ソフトの準備: 復興の手順や組織体制をあらかじめ決めておく。
- 合意形成: どのような街を目指すかの「ビジョン」を地域で共有しておく。
- データの蓄積: 復興計画の基礎となる地図や地質、インフラ情報を整理しておく。
2. 過去の教訓:阪神・淡路と東日本の「スピードの差」
この取り組みの重要性は、過去の災害対応の差に顕著に現れています。
1995年の阪神・淡路大震災では、神戸市の一部の地域において、震災前から住民による「まちづくり提案」や復興の検討が進んでいました。その結果、被災後わずか2ヶ月で復興計画案がまとまるなど、迅速な意思決定と施行が可能になりました。
一方で、東日本大震災では多くの自治体で被災後に検討を始めたため、合意形成に時間がかかり、結果として阪神・淡路の際と比較して事業の実施が大幅に遅れたという教訓が残っています。この「初動の遅れ」が人口流出や地域の衰退に直結することを、私たちは学びました。
3. 現在の実施状況と課題
現在、東京都をはじめ多くの自治体で「都市復興訓練」が実施されています。机上シミュレーションを通じて、発災から復興までのプロセスを疑似体験し、課題を洗い出す取り組みです。
しかし、国土交通省の報告では、検討が進んでいない自治体もまだ多く、特に「復興を担う人材の不足」が深刻な課題として挙げられています。また、復興の基盤となる「通信環境」などのインフラを、発災直後からいかに維持・確保し続けるかという具体的なスキーム作りも、各組織に委ねられているのが現状です。
4. 通信インフラこそ、企業BCPの第一歩
この「事前復興」の考え方は、企業のBCP(事業継続計画)にもそのまま当てはまります。
復興のプロセスにおいて、行政との連携、社員の安否確認、取引先との調整、そして仮設事務所での業務再開 -これらすべては「通信が繋がっていること」が絶対条件となります。
事前復興の肝は、「普段から使っているものが、いざという時にもそのまま機能する」という状態を作っておくことです。
有事になってから臨時の通信手段を慌てて探すのではなく、平時から冗長化された通信環境を組み込んでおくこと。それこそが、企業における最も実効性の高い「事前復興」対策と言えるのではないでしょうか。
事業継続を支える通信の冗長化
当社では、1台でドコモ・au・ソフトバンクの3キャリアに対応し、通信障害時も自動で最適な回線に切り替えて継続使用することができる、BCP通信サービス「スカイベリーpro」を提供しています。
災害時の混乱の中でも、事業を止めず、迅速な復興へと踏み出すための「止まらない通信」をご提案します。
BCPコラム
-
BCPとBCMの違いとは?「計画倒れ」を防ぎ、有事に動ける組織を作るためのマネジメント
投稿日:2026.10.26
-
介護施設のBCP対策。「予算の壁」を補助金活用でクリアする通信冗長化の進め方
投稿日:2026.10.08
-
台風25号・26号の連続襲来に学ぶ。長期化・重層化する災害と「継続的な情報収集」を支える通信BCP
投稿日:2026.09.28
-
気象庁の「予報強化」でどう変わる?気候変動時代に企業が問われる「途切れない情報収集」と通信BCP
投稿日:2026.09.17
-
熊本地震でも注目。罹災証明書の「オンライン申請」を阻む通信の壁と、避難所に求められるWiFi環境
投稿日:2026.09.09
-
そのBCP、3年前のままになっていませんか?9月1日「防災の日」に見直す最新BCPチェックリスト
投稿日:2026.09.01
-
危機管理担当者110名に聞いた「通信BCP」の現状。スターリンク検討が約4割も、決め手に欠ける理由とは?
投稿日:2026.08.26
-
八潮市の道路陥没でも発生。年間2万件起きる「水道管破裂」がオフィスのネットを止める恐怖
投稿日:2026.08.18
-
熊本での地震を受けて考える「南海トラフ臨時情報」と「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の違いと企業の備え
投稿日:2026.08.10
-
8月は台風発生のピーク。「風速〇m/s」を言い換えて警戒を高める、実践的防災アドバイス
投稿日:2026.08.03
-
ニチレイの被害でも話題。サイバー攻撃時に企業が直面する「自ら通信を断つリスク」とBCPの盲点
投稿日:2026.07.27
-
スターリンクは万能薬ではない?都心オフィスで「繋がらない」を回避する、正しい通信BCPの選び方
投稿日:2026.07.21