BCPコラム
投稿日: 2026年7月6日
※こちらのブログは通信業界歴15年の防災士が書いたものです※
過去のコラムでは、介護施設におけるBCP(事業継続計画)策定の重要性についてお伝えしました。現在、多くの施設で策定が進んでいるかと思いますが、ここ最近で介護現場を取り巻く環境はさらに大きく変化しています。それが「介護現場のIT化(DX)」です。
現在、国は生産性向上の観点からICT機器や介護ソフトの導入を強力に後押ししており、各自治体でも「ICT補助金」などの公的支援制度が整備されています。これにより、多くの施設で業務のデジタル化が進んでいますが、防災士の視点から見ると、ここには「新時代の災害リスク」が潜んでいます。
現在の介護現場では、以下のようなIT技術が主流になりつつあります。
これらはスタッフの負担軽減や利用者の安全性向上に大きく貢献しています。しかし、これらすべてのシステムに共通する大前提があります。それは、「インターネット(通信)が常に繋がっていること」です。
想像してみてください。大規模な災害や局地的な大雨、あるいは通信キャリアの大規模なシステム障害によって、施設内の通信が完全に途絶してしまったときのことを。
電気の備え(自家発電機など)をしていても、通信の回線そのものが死んでしまっては、これらの高度なITツールはすべて「ただの置物」と化してしまいます。介護現場のIT化が進めば進むほど、実は「通信障害が発生したときの業務停止リスク」も跳ね上がっているのです。
国や自治体の補助金を活用して素晴らしいシステムを導入したからこそ、それを動かす「命綱」である通信環境のバックアップ(冗長化)もセットで考える必要があります。
防災士としておすすめしたいのは、施設に引き込んでいるメインの固定回線(光回線など)とは別に、「いつでも動く、独立した複数のモバイル回線」を確保しておくことです。
特定の通信キャリアだけに頼るのではなく、ドコモ・au・ソフトバンクなど、複数の回線を自動で切り替えられる環境を整えておく。そうすれば、万が一どこかのキャリアで通信障害が起きたり、災害で基地局がダウンしたりしても、見守りセンサーや介護記録のシステムを維持し続けることができます。
スタッフの業務効率化と、利用者の安全を両立させるための介護IT。それを「有事」にも止めないための通信BCPを、ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。
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