投稿日: 2026年7月27日
※こちらのブログは通信業界歴15年の防災士が書いたものです※
2026年7月に発生した大手食品企業ニチレイへのランサムウェア(身代金要求型ウイルス)攻撃をはじめ、近年、大手企業のサプライチェーンを揺るがす深刻なサイバー攻撃が相次いでいます。ニュースを見ながら「自社のセキュリティ対策は見直したけれど、BCP(事業継続計画)としては何を備えるべきか」と頭を悩ませている担当者様も多いのではないでしょうか。
「サイバー攻撃はITセキュリティの分野だから、通信インフラの備えとは関係ない」
そう思われがちですが、防災士の視点、そしてBCPの運用面から見ると、実はサイバー攻撃時こそ「通信インフラの冗長化」が運命を分けることになります。今回は、サイバー攻撃の発生時に陥りがちな「通信の盲点」について解説します。
サイバー攻撃が発生したとき、企業は「自ら通信を切る」
万が一、自社のPCやサーバーがランサムウェアなどの不審なプログラムに感染した場合、企業が被害拡大を防ぐために最初に行う「鉄則の初期対応」があります。
それは、「社内ネットワーク(LANケーブルや光回線)を即座に遮断し、外部や他拠点との通信を物理的に切り離すこと」です。
感染が取引先や他の拠点に広がるのを防ぐための正しい一次対応ですが、ここに大きな問題が発生します。会社のメイン通信(光回線など)を自ら切ってしまうため、その瞬間にオフィス内のあらゆるインターネット通信が完全に停止してしまうのです。
通信が途絶えたオフィスで起きる「二次パニック」
メインネットワークを遮断したオフィスでは、以下のような事態に陥ります。
- 緊急連絡や安否確認ができない: 経営陣やBCP対策本部への状況報告、社員への指示出しが滞る。
- クラウド上のバックアップデータにアクセスできない: 感染を免れた安全なデータや代替システムを使おうとしても、ネットがつながらないため業務が再開できない。
- 状況の把握が遅れる: 外部の専門業者やセキュリティベンダーとの緊急やり取りがスムーズにできない。
つまり、「サイバー攻撃を防ぐこと(セキュリティ)」だけに目を奪われ、「攻撃を受けてネットワークを切断した後の通信手段(BCP)」を考えていないと、会社は一瞬で情報孤島と化してしまうのです。
社内ネットワークから「独立したバックアップ回線」を持つ意義
自然災害(地震や大雨)への備えと同じように、サイバー攻撃という「人災」においても、メイン回線が使えなくなった時のための独立した通信手段が必要です。
ここで重要になるのが、「社内のメインLANとは接続せず、独立して稼働できる無線(モバイル)回線」を確保しておくことです。
万が一のサイバー攻撃時にメインの光回線を遮断せざるを得なくなっても、独立したBCP専用のモバイルWi-Fiがあれば、感染リスクのない完全に分離された環境から、緊急連絡や最低限のバックアップ業務を維持することができます。
まとめ:真のBCPは「最悪の事態(遮断後)」を想定する
BCPの本質は、あらゆる緊急事態において「いかに業務を止めないか」にあります。
サイバー攻撃のリスクがかつてないほど高まっている今、セキュリティソフトやファイアウォールの強化(防ぐ対策)に加えて、「もし攻撃されて通信を切ることになったら、どうやって連絡と業務を維持するか(生かす対策)」という視点を持つことが、企業を守る真のレジリエンス(対応力)となります。
自社のBCP計画に「ネットワーク遮断後の通信手段」が含まれているか、この機会に一度見直してみてはいかがでしょうか。
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