BCPコラム

投稿日: 2025年12月9日

【コラム⑦】まずはトライアルから ― BCPとしての通信冗長化を導入するステップ

※こちらのブログは通信業界歴15年の防災士が書いたものです※

本シリーズでは、企業が直面する7つの通信リスクと、事業を止めないための冗長化設計・実践事例をわかりやすく紹介します。

通信冗長化の必要性が高まる中で、
「どこから着手すべきか分からない」
「導入が大掛かりになるのでは?」
と感じる企業・自治体は多い。

本稿では、導入の最適ステップと、トライアル導入のメリットを分かりやすく整理する。


まず押さえるべきは「業務影響の棚卸し」

冗長化を検討する際、最初に行うべきは

“通信停止が業務にどんな影響を与えるか” を洗い出すこと

である。

例えば…

● 通信が止まったら中断する業務

  • キャッシュレス決済
  • クラウド型受発注・会計
  • オンライン予約
  • 顧客サポート
  • 遠隔拠点との会議
  • オンライン接客
  • 現場スタッフのモバイル利用

これらが「1時間止まっただけでも大きな損失」につながる企業も多い。


“守るべき拠点” の優先順位を決める

次に、冗長化すべき拠点を優先づけする。

たとえば…

  • 本社
  • 拠点オフィス
  • 決済を扱う店舗
  • 遠隔地拠点
  • 工場・物流倉庫
  • イベント会場
  • 移動型車両(医療・営業・移動オフィス)

特に“売上直結”や“行政・公共サービス”に関わる拠点は最優先で対策が必要になる。


小規模でもすぐ始められる「トライアル導入」

冗長化ソリューションの中には、
1か月・無償で試せるトライアルプラン が用意されているケースがある。

● トライアルが有効な理由

  • 現場の電波状況を実測できる
  • 実業務での安定性を確認できる
  • 設置や運用の手間を把握できる
  • 拠点ごとの最適構成が分かる
  • 実際のスタッフの操作感をテストできる
  • 管理ダッシュボードの利便性を体験できる

特に「電波が不安定」と感じている現場では、
トライアルだけで改善効果を実感できるケースが多い。


導入後のメリット ― BCPの実効性が大幅に向上

冗長化を本導入すると、BCPの実効性が大きく向上する。

■ 業務停止リスクの大幅軽減

複数キャリア+衛星などの組み合わせで、
どのような環境でも通信が確保しやすくなる。

■ 顧客満足の向上

決済・オンライン予約・発券の安定は、顧客体験の質を直接引き上げる。

■ 人的負荷の減少

手動切替・トラブル対応の手間が減り、現場の負荷が軽減。

■ 経営リスクの軽減

売上の機会損失、信用低下、クレーム増加を抑制。

■ 災害時のレジリエンス強化

自治体・企業ともに「通信が止まらない」ことで、地域全体の防災力向上にも貢献。


導入事例から学ぶ「成功のポイント」

① 小規模拠点から試す

まずは1拠点から導入し、成果を検証するのが最も成功率が高い。

② 重要業務に近い現場でテスト

決済端末・イベント会場・医療車両など、
通信依存度の高い場所でのテストは効果が分かりやすい。

③ 運用担当者を巻き込む

管理ダッシュボードの利便性は、IT管理者の負担軽減に直結する。


まとめ:通信冗長化は“やって終わり”ではなく、継続的な経営判断

通信冗長化は、単なる設備投資ではなく
企業のレジリエンスを高める経営投資 である。

  • 災害
  • インフラ事故
  • 事業者障害
  • 地域の電波環境
  • 交通・イベントなど特殊環境

多様なリスクに向き合う現代の企業にとって、
「止まらない通信」を持つことは競争力の一部と言える。

本稿で述べたように、トライアルを活用しながら
“必要な拠点から段階的に冗長化を進める”
というアプローチは、最も実効性の高い導入ステップになる。

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